中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

教養としての歴史

最近、教養としての歴史がちょっとしたブームです。

なかでもおすすめは、こちらです。 

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

 

 各所で紹介されているので言うまでもありませんが、本書は、1920年から45年という昭和初期から終戦までを記した歴史書です。

明治が始まり40年かけて日本という国ができたのを、明治末期から昭和にかけた40年という同じ年月を費やして日本が壊れていく、その流れを丁寧に解説しています。

日露戦争後、日本が満州への足掛かりを築いたあたりから、『はじめに』がスタートします。当時の資料から丹念に状況を推定し、当時の外部環境がどうだったか、そういった中、陸軍、海軍がどうして誤った判断をしていくのかが丁寧に描かれています。

総ページ数500に及ぶ内容ですが、文書が語り口調であり大変読みやすくなっています。また、引用文献の抜粋等で日本語でわかりにくいものは、説明がついているので理解に困ることはありません。

 

で、今回はこういった書籍を若い人に読ませてもよいものかという話です。

 

歴史もトレーニング?

社員のスキルやコンピテンシーを向上させるには、研修のようなトレーニングやOJTなどが一般的です。

例えば、

  • PMスキルの習得
  • PHPで作るWEBサイト
  • 要件定義の進め方

みたいなトレーニングは、当然実施しており、外部にコストを払って研修を受けさせたりもしています。こういったものは、業務と直接的に関連しており、研修を受ける意義が説明しやすいのも事実です。

では、歴史の知識も、こうやって研修を受けさせればよいのでしょうか。

そもそも何の役に立つ?

IT部門が歴史の有料研修に行くというのは、会社を説得するのが難しいものです。そもそも「近代日本史から学ぶシステム開発」なんてトレーニングは見当たりません。

 

また、20代の若手に
「歴史の研修言ってこい!」なんて言った日には
「歴史って何に役に立つんですか?」
と聞かれるのが関の山です。

そうなると、
「やはりトップマネジメントと話すときには。。。」
「将来自分が上に立つときには。。。」
「過去の歴史を振り返り、そのメタファーとして。。。」
などとモゴモゴしてしまいます。

これは、中学生が聞く
「数学って何の役に立つんですか?」
と同じようなものです。
「将来必ず役に立つ!」
としか言いようがないわけです。

 

先のことはわからないけど、きっと役立つものがある

残念ながら自分も現時点で、「こんな時に役立つ!」などと明確に言える経験は持ち合わせていません。

海外のトップクラスと教養を競い合うチャンスもなければ、MBAで歴史認識について語り合うこともありません。時折引退した親戚と昭和初期の話で盛り上がるくらいです。

 

でも、たぶん役に立つんです。

多くの人が教養として必要だということには恐らくそれなりの妥当性があるはずです。

数学だって、たしかに微分方程式を解くことはないですが、今となっては多少は役に立っています。中学校の先生が、「将来役に立つ」といったのは間違えではなかったのです。

 

このタイミングで学んだことは、10年後、20年後へたすれば、30年後にならないと役立たないかもしれません。ただ、今学んでおかなければ、歴史が役立つチャンスすらつかめないわけです。

 

裏側で動く何かを見渡すために

この書籍では、陸軍が暴走していく点を描いているだけでなく、世論が戦争へと進んでいくのも丁寧に描かれています。昭和初期はまるで軍部が世論を完全コントロールしていたように思っていましたが、実際は初期の段階では当時も今と変わらず、軍も政府も世論にお伺いを立てて、世論に背いては動けなかったことが良くわかります。

当時、日本国民の世論も他国に対しての強硬な姿勢を軍部や政府に求めており、それが戦争につながる一因でもありました。

 

著者も、

国家が戦争へ戦争へと坂道を転げ落ちているなんて、ほとんどの人は思ってもいなかった。  

と言っています。

 

こういった状況は現代にも適用できて、

これは何もあの時代に限らないのかもしれません。いまだってそうじゃないか。なるほど、新聞やテレビや雑誌など、豊富すぎる情報で、われわれは日本の現状をきちんと把握している、国家が今や猛烈な力とスピードによって変わろうとしていることをリアルタイムで実感している、とそう思っている。
でも、それはそうと思い込んでいるだけで、実は何もわかっていない、何もみえていないのではないですか。 

とも述べてます。

 

そして歴史を学ぶ意味として、

時代の裏側には、何かもっと恐ろしげな大きなものが動いている、が、今は「見れども見えず」で、あと数十年もしたら、それがはっきりする。歴史とはそういう不気味さを秘めていると、私には考えられてならないんです。 

 ですから、歴史を学んで歴史をを見る眼を磨け、というわけなんですな。

と。

 

歴史を学ぶことで、より大局的な流れがつかめ、他の人より、より早く、より適切な判断ができることになる。そういうことかもしれません。

 

ということで、日に日に教養を勧めるうざいおじさんになりつつある今日この頃です。

 

(ということで、日本の近代史としてはまずここから) 

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

 

 

(この人の文書はなぜか読みにくい。自分だけでしょうか。ただ内容はしっかりしてます) 

いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編

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