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中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

中学受験はコストパフォーマンスが悪い?②

前回中学受験なんて、金も手間もかかる割に将来の期待値はそれほどでもないので、費用対効果が悪いのではないかという話をしました。でも、そうではないのです。たぶん。

 

教育には早期の投資が有効

教育における費用対効果は、社会収益率などと言われて、海外を中心に研究されています。

 

さてこちらの書籍より

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 教育を経済活動としてとらえたとき、教育の収益率「1年間追加に教育を受けたことによって、子供の将来の収入がどれくらい高くなるか」であらわすそうです。

 

経済学者の一致した意見としては、

もっとも収益率が高いのは子供が小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)

だそうです。

 

有名な実証実験に「ペリー幼稚園プログラム」と呼ばれるシカゴ大学ヘックマン教授らが行った実験があります。

 

これは3~4歳の子供たちに「質の高い就学前教育」を提供することを目的に行われ、特別な幼稚園を設立し、通常とは違う教育を提供します。例えば、

  • 幼稚園の先生は修士号以上の学位を持つ児童心理学等の専門家に限定
  • 1週間につき1.5時間の家庭訪問

等々の取り組みが行われています。

 

このプログラムを受けた子供達について追跡調査が行われており、このプログラムを受けていないコントロールグループと比べて

  • 6歳時点でのIQが高い
  • 27歳時点での持ち家率が高い
  • 40歳時点での所得が高い

等の結果が出ています。

 

このプログラムの収益率は年率7%から10%にものぼると指摘されてます。ちなみに、年率7%だとおよそ10年で倍になって帰ってきます。かなりな収益率です。

 

非認知能力の習得が重要

でも、実はIQの差は小学校入学(6歳)とともに小さくなり、8歳前後で差がなくってしまうそうです。

では、長期的に何がプラスの効果を生んだかというと「非認知的能力」と呼ばれる、

  • 自己認識
  • 意欲
  • 自制心
  • 忍耐力
  • 性格的な特性

等々の能力が、長期に渡って差が出続けたそうです。

こういった非認知能力といったものは、

将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響する

と多数の研究で言われています。社会に出るとIQよりも重要な要素はいくらでもあるわけです。

 

例えば、性格的な特性については、以前も紹介しましたが、ビッグファイブと呼ばれる性格5因子のうち誠実性は、職務成績と相関を示します。誠実性が高い方が仕事で良い成績を残せる傾向があると言われています。

blog.sme-itdept.com

 

また、自制心については、マシュマロテストが有名です。先のリターンを認識して、自分を制御できるこどもは将来にわたって年収等が高くなるそうです。

マシュマロ・テスト:成功する子・しない子

マシュマロ・テスト:成功する子・しない子

 

 ちなみにこういった非認知力を鍛える方法はいくつも研究されているらしく、例えば、

先生に「背筋を伸ばせ」と言われ続けてそれを継続した学生は成績が高い

などということもあるそうです。

 

中学受験は環境形成か

さて、中学受験の話に戻ると、学歴という点だけではコストパフォーマンスが悪いのかもしれません。正直コスト最小にするなら、高校3年から予備校に通い、加えて1年浪人でもすれば、東大・早稲田・慶応くらいに入れるかもしれません。特に高校生くらいになると教育ツールも充実しており、格安の動画教育などもあります。

 

ただ、じゃあ最後に勉強だけして、最終学歴で帳尻を揃えればよいのかというとどうも違うようです。

先ほどのヘックマン教授の研究で、

一般教養終了検定(日本の大検に当たる試験)をうけた生徒は、高校を卒業した生徒にくらべて年収や就職率が低い傾向にある

ということが報告されています。

 

これは、学力はおなじでも非認知能力が違う可能性があり、それは社会にでてさまざまな影響がでてくるのかと思います。

中学受験をして良い学校を目指すことには、こういった非認知的能力を身に着けるのにプラスなのかもしれません。
普通の公立に行くよりも受験校(公立でも私立でも)の方が、環境への配慮、教育への意識、まわりの友達の質などの面で環境が良く、非認知的能力でプラスに働くのかもしれません。

 

ちなみに、IQの遺伝率にくらべ、非認知能力の多くは遺伝率が低く環境から学習効果が期待できます。そういった意味でも受験で良い環境の学校入ることは意味があるのかもしれません。

 

子供の前に親の問題かも

ちなみに、この本では教育に対しては、家庭の影響が大きいといっています。家でのしつけや、親が教育に参加するか等が影響すると言っています。

最悪なのは、流行の学習法や学習塾に流されて、大金払って、家庭では何もしないというケースかもしれません。


まあ、子供に勉強させる前に親から勉強しろというのが正解なのかもしれません。

 

 (遺伝の話です。何が遺伝するのか、しないのか)

遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である (ちくま新書)

遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である (ちくま新書)

 

 

 (この辺のことをわかりやすくまとめています)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

 

 

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