中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

やっぱり保守が好き

1980年代後半にやっぱり猫が好きというドラマがありましたが、それとは全く無関係なITベンダーとユーザー企業の関係のお話。

 

もぬけの殻になるユーザー企業IT部門

ユーザー企業のIT部門は、ここ20年くらいで急速にアウトソースが進みました。かつては、自社で技術者を雇い自社で開発・保守を行っていましたが、不景気の影響もあってか、自社IT部門を子会社化し、中にはその子会社を売却し完全に外製化する企業も多々ありました。


2010年ころから内製化への回帰も進んでいますが、それでも内製化率は41%程度です。

itpro.nikkeibp.co.jp

 

米国では企業の本体にIT技術者を配置し内製化することが多いの対して、日本は企画・管理人材のみを置くケースが多く、

  • 米国のユーザー企業のIT技術者数はITサービス企業IT技術者数の約3倍弱である。
  • 日本は逆にITサービス企業技術者数がユーザー企業技術者数の3倍である。

と言われています。
出所:IT人材育成事業:IT人材白書:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

 

結局、ユーザー企業に技術力はなく、ほぼベンダー任せです。
システムを開発するのはもちろんそのお守もベンダー任せです。そうなると、ユーザー企業は、ベンダーの言い値で、ベンダーのいいなりのサービスを受けることになります。

システム開発の発注時はRFPでコンペなどできますが、保守は基本開発したベンダーに任せます。というか、開発ベンダーしかできないケースが大半です。

そうなると保守で、いいように儲けられてしまいます。

 

ユーザーだってだまっちゃいない

とは言えユーザー企業もだまっていません。だいたい5年に一度くらい、システムの総入れ替えをちらつかせて、保守の値下げ交渉が始まります。

ユーザーとしては、

  • 5年もやっているんだから保守業務も効率化したはず
  • だからもっと少ない工数で対応できるはず。なので安くしろ
  • 効率化できないようなベンダーなら価値はない。取り換える

といった理屈で交渉します。

とある、ベンダーの人に話を聞いたところ、5年に一度20%~30%くらいの減額要求の目安だそうです。その減額幅をいかに小さくできるかがベンダー営業の腕の見せ所らしいです。

 

洗濯物はどこに

じゃあ、実際ベンダーを総とっかえするかというとそう頻繁には行えません。

そもそも、ユーザー企業にIT人材が少ないので、総とっかえするならそれなりの工数を割かないと対応できないことになります。保守費が10%くらいしか下がらないとしても、あと10%を下げるために、システム総入れ替えをすることに経済合理性はありません。

 

他の選択肢として、IT人材を内製化して自分達で保守をやるかという話しもあるのですが、それはやりません。確かに経済合理性がないと言えばその通りなのですが、それ以上にやっぱりベンダー保守が楽なんです。

 

ベンダーに保守を任せると、システムが止まった時はベンダーのせいにできます。システムの深夜メンテナンスでも徹夜するのはベンダーです。ユーザーは家に帰ってビールでも飲んで報告を待っていれば十分です。

また、日本のベンダーはやはり優秀です。無理言っても、多少契約外でもいろいろとやってくれます。おもてなしの精神です。慣れてくるといたれりつくせりです。

 

こんな中で過ごせば、5年も経つとベンダーなしでは生活が成り立たない体になってしまいます。

ユーザーからシステムの問合せがあっても、正直、大抵のことは良くわかりません。ベンダーに聞かないとわからないわけです。

 

これは奥さんがいないと洗濯物の場所がわからない旦那のようなものです。もしくは、もっと関係は強く、母親がいないと体操着の場所がわからない小学生みたいなものかもしれません。

 

なんにせよ、気付けばベンダーがいないと生きていけない体質になっているのです。

 

ITシステムの罠31

ITシステムの罠31

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ