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中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

経営学論文を読むことになった素人社会人が最初に読むべき3冊

社会人で特に博士号を持っているわけでもなく、経営学専攻でもないのに、経営学の論文を読まなければならなくなったという、レアケースの方に向けたオススメ3冊です。

 

MBAでもたまには読むかも

MBAは基本職業訓練校です。経営戦略、会計、マーケティング等を学びますが、ビジネスの現場で活用することが目的ですので、小難しい論文を読むことはまれです。

特に国内MBAは海外ジャーナルに論文を出しているところも少なくMBAに入ったからといって学術的にな経営学を学ぶかというとそうでもありません。

とは言え、最近では学術的な取り組みを行うMBAも出てきてますし、もしかすると仕事で読む機会があるかもしれません。

なぜか経営学論文を読む羽目になった時間のない社会人に向けた、薄めの参考資料です。

 

論文の構成、読み方がわかる

論文の読み方を教えてくれる一冊です。まずこれを片手に読み始めることをオススメします。
論文の体裁、論旨展開の基本、分析結果を理解するための基礎的な統計まで記載されています。
著者が心理学者ということもあり、心理学中心の記載が多いですが、経営学や他の人文系の論文を読む際にも役に立ちます。特に、後半の分析のパターンは、なぜ相関分析した後に重回帰をやるのか等々、初心者には理解しにくいところが説明してあります。 

心理学・社会科学研究のための 調査系論文の読み方

心理学・社会科学研究のための 調査系論文の読み方

 

 

論文用の統計入門

最近の経営学論文は統計の理解が必須になってきています。上記の書籍も統計の説明が多々でてきますが、難しすぎる!という方はまずこちらから。

文系でもわかる統計分析 (朝日おとなの学びなおし 社会学)

文系でもわかる統計分析 (朝日おとなの学びなおし 社会学)

 

統計素人のための一冊です。複雑な数式はほとんどでてきません。論文読むのに最低限の知識が身につきます。各統計手法ででてくる指標が何を意味しているのか等々、簡単に読めます。

ちなみに論文を読むのには、ビジネス向けの統計書はあまり役に立ちません。ビジネス書にはクロンバックαの説明など出てきませんし、各統計分析のパラメータ説明もそれほどされません。

また、レベルは急にあがりますが、東大出版の統計本まで理解できれば、論文読むのにはまず困りません。

人文・社会科学の統計学 (基礎統計学)

 

経営学の主要論文をつまみ食いできる

ビジネス書としてもベストセラーですが、経営学の入門書としても良書です。

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

 

まず、経営学の成り立ちが説明してあり、経営学は「経済学」、「心理学」、「社会学」の3つのディシプリンから発展していることが述べられています。

それぞれのディシプリンについて、世界の主要な論文が紹介されています。ポーターのSCP、バーニーのRBVなど主要な論文の成り立ちやポイントがまとまっています。

通常論文は、既存研究をベースに拡張され書かれていますが、名著の論文は様々な論文の前提条件として引用されます。そういった名著の論文のエッセンスが記載されています。また引用もしっかりかいてあるので原書をたどることができます。

ポーターの『競争の戦略』なんて読みだすと何年かかるのかわかりません。論文を読むための最低限の知識としては、この一冊で概要を知れば十分です。

もし余裕があればこちらも読むと先端の経営学のエッセンスがわかります

ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

 

 

ということで、まあ、普通の社会人が論文読むなんて滅多にないと思いますが、もしそうなったらまずはこの辺からという3冊です。

経営学論文読むからといって、ぶ厚い経営理論書からスタートする必要はありません。時間のない社会人には超大作を読んでいる暇はありません。また、何年も前の書籍になるとその後、新たな学説が出てきてひっくり返っていることもあるので、個別の書籍をじっくり読む前に全体像をつかむことがおすすめです。

ちなみに、日本人の大好きなドラッカーはなかなかでてきませんので。。。

また、実際は日本語の論文は世界的にはほとんど注目されておらず、先端となると英語論文になるかと思います。その際は、読んでいる論文誌がどの程度の位置づけなのかは知っておいた方が良いかと思います。インパクトファクターなどで調べると数多くヒットしますのでそちらを参考に。

経営学における影響力の高い学術雑誌ランキング10 - being qua being

英語となると一段階難易度があがりますが、経営学の主要な論文はほぼ英語なので、ぜひチャレンジを。

 

その他

その他、パッと読めて経営論文読み始めに参考になる書籍として。

 

 研究系のトレンドがわかる

この本を読むと経営学にも関係しそうな心理学、行動経済学等のさわりが理解できます。物語形式で書かれているので読みやすくなっています。興味のある分野については、文末に引用文献のリストがついているので、そちらを参照して読んでみれば、その分野の概要がつかめます。 

あなたの人生の科学(上)誕生・成長・出会い (ハヤカワ文庫NF)

あなたの人生の科学(上)誕生・成長・出会い (ハヤカワ文庫NF)

 

 

こちらタイトルは緩い感じですが、最近の学術トレンドがわかります。

「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)

「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)

 

学術の世界は、既存の研究に新たな研究を積み重ねて、常に新たな理論が生み出されます。がんばって読んだ昔の論文の内容が、実はすでに反証されていて、役に立たない内容だったなんてこともあります。そういったことを無くすためにも、今のトレンドを知っておくことは重要です。

いまどき、「合理的な個人」を前提とした経営学論文は時代遅れなわけです。そのあたりは上記の2冊ともに書かれています。

 これら書籍は学術書ではないので、厳密ではありませんが、分かりやすく読みやすくなっています。

 

行動経済学もかじっておく

経営学の論文でも、行動経済学の話は良くでてきます。その第一人者の本です。

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 経済学が前提とする「合理的な個人」なんていないよね、という内容の本です。行動経済学など呼ばれていますが、この領域には昨日まで「産業心理学」とか言ってた研究者が多々います。心理学ディシプリンから派生した分野です。

 

10代のための心理学

前述の3つのディシプリンの一つ心理学を概観できる書籍です。10代向けの図鑑になっているのですが、全体像が把握できる書籍です。 

10代からの心理学図鑑

10代からの心理学図鑑

  • 作者: マーカス・ウィークス,ジョン・ミルディンホール,渡辺滋人
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2015/08/27
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 高専の数学3

統計学、経済学をまじめに理解するには、高校の範囲を超えた数学が必要です。大学の数学でも良いのですがそれだと少し敷居が高くなります。
こちらは、高校範囲を少し超えた範囲で微分・積分、確率・統計が説明してあります。自分でとかなくても、ざっと眺めるだけでもプラスになります。 

新編 高専の数学3 第2版・新装版

新編 高専の数学3 第2版・新装版

  • 作者: 田代嘉宏,難波完爾
  • 出版社/メーカー: 森北出版
  • 発売日: 2010/12/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • クリック: 2回
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ぶ厚くてよければ、次のような書籍もおすすめです。

MITスローン・スクール 戦略論

経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

 

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