中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

なぜ市場分析をバカにするのか

 最近ところどころで、「市場分析はいらない、新しい市場を生み出すのだ」的な、コメントへの賞賛が見られます。

 確かに以前、仕事で分析ばかりしていたときは、「意味ないよなこれ」と思いながら徹夜していましたが、それでもこの論調には???な感じです。

 

著名経営者のコメントか

 この手の引用は大抵、著名な経営者の本とかから引用されてたりします。

 別にそれ自体を否定するつもりは全くないのですが、それらは成功した一事例であり、普遍的に通用する成功要因ではありません。

 

 確かに、googleの検索ビジネス市場を電子辞書市場なんかと比較しても意味はなく、スマホゲーム市場を既存の家庭用ゲーム市場と比較しても意味がないとは思います。

 

 でも、個人的には、最低限顧客数のベースとなる人口や、競合の動向ぐらいはしらべようよ、という感じです。

  

成功要因でも失敗要因でもない

繰り返しになりますが、著名経営者が、

「XX事業は、市場分析なんかしていたら成功していませんよ」

というような言葉は、あくまで事例です。そのときの環境(経済環境や社内の人材)に依存しており、その場合は成功したにすぎません。確かに、時々で経営者の判断が含まれており、そこに才能があったのかもしれません。

 

 しかしながら決して、

 「市場分析をしないと、新規ビジネスが成功する」

 「市場分析をすると、新規ビジネスは成功しない」

と言っている訳ではありません。

 

 市場分析をろくにしないで、儲からない市場にお金を投入して失敗した新規ビジネスは恐らく山ほどあります。一方で、市場を綿密に分析して、新製品を開発して成功したケースも山ほどあるはずです。

 

 経営における成功要因、失敗要因を一般化するのは、かなり難易度の高い課題ということを認識する必要があります。

 

 ですので、「あの経営者が市場分析は無駄だといっている。だからやらない方がいい」というのは、あまりに行き過ぎたコメントです。

 

市場の人数ぐらいは、せめては調べて欲しい

 こういった「分析不要論」は、ビックデータのはやりに対する反論的なコメントなのかもしれません。

 

 このトレンドのせいかわかりませんが、基本的な分析を軽視する人が目に付きます。ミクロな議論にすぐ入り、基本的なことを調べない人ケースが多々あります。 

 例えば、新規ビジネス提案で、

「今は少子化で、祖父、祖母に加え、叔父・おばまでが、一人の子供に対してお金を使うので、あかちゃん向けに新製品を投入したい」

というような個別トピックは言うのですが、

 

  • 子供人口(15歳未満)が1600万人程度で、33連続減少
  • 伸びているのは東京・沖縄のみ
  • 0-2歳人口については、314万人


子供の人口、33年連続で減少 1633万人、東京・沖縄のみ増加【こどもの日】

 

 また、別の調査資料をWEBで探すと、

  • 子供向けの支出は、人口減にもよらず横ばい

 

など、こういったことが簡単にわかります。これらは数秒でWEBで見つかりますが、それすら調べていなかったりします。

 

 人数が減って、単価が上がっているということは、一人あたりがお金を落とす物や場所が少なくなり、集中している可能性があります。

 ですから、儲かるところに集中して、その他はほとんど儲からないという市場環境かもしれません。

 などなど、いろいろと考えるきっかけになります。

 

 市場分析というのは、そもそも考える基礎的データを得る作業であって、それを全くやらなくてよい、全く意味がないというような論調はいかがなものかと。

 基本的な分析はでき、客観的な情報は理解した上で、常識を捨てることは重要だと思います。ただ、そういったことを全く考えていないのは大きな問題で、「これまでのやり方を捨てること」と「最低限のことをやらない」ことをはき違えているような気がします。

 

 ビックデータのようなものが流行る一方で、それを否定したがる傾向がでてくるのは当然だと思うのですが、せめて基本的なことはできるようにしておくべきかと。

 

 (別になんでもいいのですが、分析のフレームワークの定番と言えばこちら。競争の戦略は長いので)

〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略

〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略

 

 

 (ポーターのフレームワークは、経済学の理論から落とし込まれているそうです。この方の書籍、連載は勉強になります。)

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

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