20年近く前の最初の会社に入社したとき、一週間目からタクシー帰りの午前様続きでした。2週目の日曜の夜中2時くらいになって月曜朝一までの締切の資料ができずに、「もうだめだ首になる」と思ったのを良く覚えています。
外資系だったこともあり、給料はそれなりだったのですが、これで給料が安かったら完全なブラック企業です。
当時はずっと仕事漬けで、飲みに行く暇もなく、合コンというのに参加したのも社会人2年目になって初めてという状況でした。
その後、いくつかの職を転々として、国内の中堅企業のシステム部門に落ち着いたのですが、この会社の若手たちの楽しそうなこと。羨ましい限りです。
ワークライフバランスという名のもと会社が残業を強いることもほとんどなく、皆、定時退社し、楽しくアフター5(死後?)を楽しんでます。飲み会続きの若者もいれば、マラソンやサッカーなどスポーツ漬けになる人もいて、ほんと楽しんでます。
うちの会社には、優秀な新人が毎年はいってくるのですが、こういった若手たちも5年、10年経つと大きく差がついてきます。それは、このありあまったアフター5の時間の差も大きく影響しているように見えます。
かつてあれだけ優秀だった若手が、中堅になってきて輝きをなくし、延々と文句をいいながら業務をこなし続ける。不満はあれど、なんのスキルもキャリアもなく、転職するわけにもいかず、日々、愚痴を言いながらも、会社にしがみつき続ける。そんな光景をもしばしば見かけます。いつの間にか社畜化してしまっています。
もし、毎日pm6時からpm9時まで自由になるとして、何かを必死に10年勉強すれば、その分野でそれなりのプロに成れる可能性があります。一日3時間、10年でおよそ1万時間、プロになるには1万時間必要という、例のルールです。
一方で、その時間をあそびや、スポーツに費やしているとそれは、それで、10年経ったときに何も残らない可能性もあります。(健康増進、寿命の延長にはなるかもしれませんが。)
ワークライフバランスの提供は、ある意味会社の社員社畜化の長期戦略かもしれません。それなりに優秀な社員を都合よく飼いならし、給料も上がらないので、比較的安く使い、しかも転職するほどスキルも見識もない状況に追い込んでいく。
社員にしてみれば、ワークライフバランスを謳歌していて、気づいたときにはもう転職スキルもなく、年を取ってしまっているという、ある意味、ぬるま湯で麻痺させられているのかもしれません。(そんな社員が使えるのか?という疑問はあれど、給料が対して上がらないので、それなりに価値はあります。)
若手のアフター5の使い方を見ているといくつかのパターンがあります。
- スポーツ熱中型:マラソンやフットサルなどにはまるタイプです。時折、マラソンにはまりすぎて、フルマラソンの大会に毎週出たり、トライアスロンに参加したりなど、行ってしまう人もいます。そこまで行ってしまうと、帰ったあとは当然、土日もトレーニングに費やされてます。
- 飲み会等、遊び充実型:週5で飲み会など、遊び充実タイプです。30歳くらいまでならまだしも、その先40歳近くまで続けると、完全に会社ぶら下がり人間になっています。
- 資格・学校、キャリアアップ型:資格取得から夜間の社会人大学など、わかりやすいキャリアアップを目指すタイプです。真面目にやっている中には、海外のMBAに行くような人もいて、そこまで行くと勝ち組です。
- 異業種交流・副業、意識高い型:「2枚目の名刺」なんかに影響されて、異業種交流や副業などをこっそり始めるタイプです。大抵は、若い人の意識高い系の中で活動しており、やくにたってるのかどうなのかわからないケースがほとんどです。ただ、たまに、突き抜けて独立したり、会社でその交友関係で仕事ができるようになるなど、成功者もいます。
遊び充実型の人材を除けば、それなりに成功している人もいるのですが、じゃあ、キャリアとして自由度が広がっているかというと疑問があります。
まあ、人の人生なんで、余計な心配かもしれませんが、ゆるい状況でワークライフバランスを謳歌している一方で、同世代のコンサルや商社なんかは、死ぬほど働いているわけです。
自分の仕事に取り組んで、10年過ごすのと、飲み歩いて10年過ごすのでは、恐らくその先のキャリアも変わってくるのではないかと。
少なくとも自分は、入社から5,6年の必死に働いた経験で、体よくキャリア形成ができたのは、事実です。
あまりこういったことを言いすぎると、おやじのお説教になるのでこの辺で。
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