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中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

「空気」になりたい

  

避けて通れない大問題。「英語」について | AdverTimes(アドタイ)

がちょっと話題になっているので、かつて「空気」になりたかった件について。

 

 この方、清水さんは、海外で仕事を始めて最初英語ができず、「英語がしゃべれない=無能」、「英語がしゃべれない=人間失格」という状況から、なんとか海外で仕事のできるレベルまで苦労して向上された方です。

 

  自分も最初の会社が外資系のコンサルで、かなり英語には苦労したので、「そうそう」と共感しつつ、当時のことを思い出してました。

 

 ただ、自分の場合は、半年の海外生活どころか、1週間でギブアップし、しかも結局いまだにろくに話せないので、そのあたりは全く違うのですが。。。

 

 また、この方より英語力がなかったので、

「英語がしゃべれない=生命体ではない」、「英語がしゃべれない=そこに存在しない」

といった扱いでした。

 

 15年以上前の当時の思い出をつらつらと、恐らく何の役にも立たないエントリーですが、もしご興味あれば。

 

 外資系の新人トレーニング

 学卒で最初に入社した、外資系企業は、New Hire Trainingなどというトレーニングが世界各地で行われており、入社1年目の社員は、タイミングの良い時期に自分で選んで参加するというものでした。1週間ほどトレーニングで、グループディスカッションやインタビューの練習をするというものでした。

 

 入社時に、人事から「仕事の都合に合わせて、1年目で行ってもらいます。まあ、バケーションみたいなものだから」と言われており、自分としても、まあ新卒だし、少しぐらい楽しいことあるよねと期待してました。

 

 ちなみに、自分が入社したコンサル会社は、4月1日に名刺を渡され、いきなりクライアント先に連れて行かれるという会社でした。入社初日からタクシー帰りというそれなりに仕事は厳しい状況ではありました。

 

 入社して少し経った、4月の中旬ごろに、人事から「5月GW明けにニューヨークで新人研修があるから行ってきてください」と通達があり、半徹夜続きの状況だったので、「にゅーよーく!!」、「バケーション!!」と喜んだのを覚えています。

 

 そんな、自分を見ながら、横の先輩が、「楽しめるといいねぇ。。。」と意味深に笑っていたのを今でも覚えています。

 

ニューヨーク到着

 5月のGWも結局仕事をしており、「トレーニング=やっとGW」という感じで、わくわく感でいっぱいになりながら、ニューヨークに旅立っていきました。

 

 当時は、日本オフィスには同期数名しかおらず、そのうち都合ついたのが自分ともう一名(以下A氏)だけだったので、二人でトレーニング参加となりました。

 

 実際のトレーニング場所は、ニューヨークから車で1時間ほどはなれたところで開催されており、空港からタクシーで移動でした。

 

 A氏は、海外旅行の経験も多く、TOEICも700点、自分は、TOEIC650点で、「まあそれなりになんとかなるでしょ」って感じでした。

 

 ちなみに、TOEICのページによると、

「企業が期待するスコア 海外赴任社員:635-800」

だそうです。海外赴任できるじゃん。。。

 

 タクシーでは、意気揚々と世間話をし、1時間後に研修施設に到着。そこは、しゃれたコテージがたくさんならび、ゴルフコースやプールの完備された、高級リゾート地というのがピッタリな場所でした。

 

 到着当日は、既に夕方になっており、どこで夕食が食べられるのかもよくわからなかったので、二人で近所にあるファミレスに入り、すぐに寝てました。

  

謎のカードゲーム

 翌朝朝一から、トレーニング開始です。まずは顔合わせる外人たちと、挨拶を交わします。「調子はどうだい?」、「ちょっと、ジェットラグがね」などと、まるで英語が話せるような短文を重ねてしのぎます。

 

 その後、トレーニング全体の流れの説明が行われます。紙を見ながら聞くのですが、紙に書いてあること以外は聞き取れない。なんで?

 

 続いて、各自の自己紹介が始まります。そのあたりから高速英語が飛び交います。意味不明です。更に、なぜか笑いが生じます。アメリカンジョークか!??開場は、温かく、笑いのムードで満ち溢れます。

 

 不安が少しずつ。

 

 自己紹介の番が回ってきて、用意した内容を話します。そりゃ自己紹介くらいはできます。なぜなら毎週NOVAに通っていたので。

 

 でも話せば話すほど、なんとなく寒い空気が。。。不安が募ります。

 

 そのあと、簡単なグループワークが始まります。謎のカードゲームです。指定されたチームに分かれて、カードを使ってゲームをします。カードには英語の詩が書かれており、その詩の内容に合わせて、なにかを言い合うゲームなのですが、

 

 チームがわからない!

 ルールもわからない!!

 英語の詩なんか読めるわけない!!!

 

ということで、完全アウェー状態に入ります。まず、チームを間違え、トレーニングの担当者に注意され、会場は笑いに包まれます。なぜここで笑い?って感じです。

 

 ルールがわかっていないので、メンバーがあきれ始めます。さらに、英語の詩も読めないので、ゲームは自分なしで進んでいきます。

 

 こんな感じで、一日の苦行が終了します。

 

 別グループになった、A氏もあれほど、「英語なんかなんとかなるよ」と言っていたにもかかわらず、かなり落胆の表情で。

 

 研修所には当然夕食も用意されているのですが、二人とも疲弊しており、「もうこれ以上英語の会話に入りたくない」ということで、昨日も行った近所に一件しかないファミレスに向かいます。

 

 馬鹿みたいに大量のパンケーキと、大量のコーラで一日のストレスを忘れようとしてました。

 

 初日からかなり暗雲が立ち込め、逃避行動がはじまりつつありました。

 

グループディスカッション

 2日の朝、やはり食事会場にはいきたくないので、A氏と自分は、例のファミレスに。ニューヨーク来て食事すべてが、同じファミレスです。

 

 ファミレスで、トレーニング開始ギリギリまで粘り、重い気持ちでトレーニングルームに向かいます。

 

 2日目以降は、グループディスカッションが始まります。3日間かけて、チームメンバーで回答を作り、現地の役員に説明するという内容です。

 

 朝一にトレーニング用の資料が配られます。それをメンバーで読みながら、午前中に初期的な仮説を作るというトレーニングです。お題は、「ある石油企業の事業戦略を考える」というものです。

 

 この日午前中終わった段階で、完全にわかりました。

 

 英語が全く分からない。このトレーニングに全くついて行けない。

 

 なんども言うようですが、このトレーニングは英語さえ話せれば、楽しいバケーションです。実際に、日本語でやったなら、日本企業でもよくやる、ビジネス研修みたいなもんです。

 

 よくあるじゃないですか、研修なんかどうでもよくて、夜の飲み会どうしようか、とか、明日は観光して帰ろうかなといった、例のお遊び研修です。人事評価なんかには、ほぼなんの影響もありません。

 

 でも、全くついて行けません。TOEICの650点なんて何の役にも立ちません。

 

 まず、言っていることはほとんどわかりません。個別の単語も聞き取れません。さらに資料も辞書なしでは読めません。石油の専門用語など全くわかりません。

 

 さらにたちの悪いことに、グループにはリーダー役が選出され、メンバー全員の意見をまとめたり、活発な発言をもとめたりします。

 

 ほんと、意見とかもとめられてもほんといい迷惑ですから。ほっといてください。といった状況です。

 

 でもいい迷惑なのは他のメンバーにとっても同様で、こっちがわからないと、いろいろと説明しようとしてくれます。それでもわからないとあきれ顔で、まずい空気が流れます。

  

 こんな感じで徐々に、取り残され始め、2日目の昼過ぎにはもう完全にギブアップでした。

 

逃避行動

 2日目の昼も、A氏と二人で例のファミレスです。ハンバーガーを注文します。でかいです。沈みきった精神状況では食べる気もしません。

 

 あれほど、英語慣れしていたA氏もかなり疲弊しており、二人で相談の結果、「帰らせてもらおう!」、「もうクビでもしょうがない!」、一大決心です!。

 

 たかが英語が話せないだけで、職を失うわけです。笑っちゃいます。

 

 最初に紹介した清水さんにくらべれば、ホントささいなことです。1週間我慢すれば終わるわけです。正直ヘタレです。

 

 高校・大学と、体育会系に所属し、厳しいトレーニングにも、しごきにも、理不尽な先輩にも耐えてきました。また、就職前には、ベンチャーで働いたりして、意味不明の上司にこき使われたりもしました。ただ、そんなことでは、決して折れなかった自分が、2日間の英語のトレーニング(バケーション)で、もうにげだそうというありさまです。

 

 ほんと情けないの一言です。

 

 でも、当時は、本当にやめてもいいから、この状況から逃げ出したいという気持ちでいっぱいでした。

 

帰らせてください

 食事終了後に、二人は決意して、トレーニング担当のおっちゃんのところに向かいました。

 

 なんとか二人で、

・いかに我々は英語ができないか

・正直全くついていけないので、リタイアしたい

という旨を伝えました。

 

 おっちゃんは、「take it easy!」みたいなことを言って、まあ、「大丈夫気にスンナ!」、「バケーションだから気楽にやれ!」ってな感じでした。

 

 また、「日本人はまじめなんだよな、毎年いるんだよ。」(毎年!)

 

 「じゃあ、お前ら二人同じチームに移してやるから、協力してがんばりな!」

って感じでチーム変更になりました。

 

 まあ、一人でないだけ心持ましになりました。その晩、先輩からメールが、

「もうギブアップしたんだって?早いなあ。」

「毎年、日本人は英語しゃべれなくて、問題なってるから、気にすんな」

 

 出発前の不敵な笑みの理由がわかりました。例年、恒例の状況で、既に日本の人事にも連絡が行き、日本オフィスでは、笑いのネタになっている模様でした。

 

 しかし、2日目でギブアップ宣言までしているのは、かなりのヘタレのようでした。。。

  

「空気」になりたい

 さて、2日目の午後以降、チーム変更になり、日本人2人、外人5人のチームに入れられました。

 

 英語のしゃべれない日本人が2人になって、ディスカッションにも参加できるように!

 

 なるわけありません。英語力合計:0+0=0です。ちなみに、平均値も0です。

 

 状況は、改善しません。結局何もわからず、意見も止められても、

「今なんて言ってた?」、「わかんねーよ」

という日本人通しの会話が繰り広げられるだけです。

 

 笑いながら、「I don't know.」、「I can't understand.」を繰り返す、なぞの東洋人ふたりぐみです。

 

 こんな状況をみながら、メンバーの一人、20代前半にゅーよーかーの女性が、多いに馬鹿にしてくれます。ふくよかな体制から、流暢な英語、どくどくのおしゃれな言い回し(だと思う)を繰り広げ、全く理解できない2人組を、哀れな表情で見守ってくれます。

 

 結構、限界です。もうほっといてくれって感じです。

 

 まさに、「英語がしゃべれない=無能」な状況です。

 

 でも、半日くらい、「わかりません」を笑顔でくりかえしてくると、あまり詳しく詰められなくなってきます。だんだんと質問も減り、こっちの存在を気にしなくなってきます。

 

「英語がしゃべれない=無能」

 

の状況では、まだ人間として認識されていたのですが、その後、

 

「英語がしゃべれない=人間失格」 

 

人間ではなくなってきます。

 

 英語が話せないことで、無視され始めると、だんだんと感じるのです、自分は生命体ではないのではないか。だれも存在を意識していないのではないか

 

「英語がしゃべれない=生命体ではない」、「英語がしゃべれない=存在しない」

 

 また、このまま、息をひそめて、気配を消せば楽になれるんじゃないか。

 

 

 そうだ、このまま、「空気」になればいいんだ。

 

「『空気』になりたい!」

  

 かくして、「英語しゃべれない=空気」を目指して、息をひそめることとなります。

 

 つづく

 

 (最近はここからやり直してます)

キムタツ式英語長文速読特訓ゼミ 基礎レベル編―大学受験

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