中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

SIer vs WEB屋 その2

WEB屋に現場部門が陥落することで、WEBのリニューアルプロジェクトが始まったお話の続きです。

blog.sme-itdept.com

 

ゼロベース思考

WEB屋のプロジェクトは、まずはゼロベース、制約なして、デザインが始まります。
UXを云々言いながら、デザインのモック、ワイヤーができていきます。

WEB屋のデザインは見ていて面白いです。SIerが作る、妥協の産物とは違う良いものができます。

SIerにデザイン変更を依頼すると、先にシステム上の制約が頭に浮かびます。そうなると、その制約をうまく回避するデザインとなり、なんともいけてない、へんてこなデザインになることがままあります。

でも、新規参入のWEB屋は全くそんなことはお構いなしです。まずはゼロベースで考えて、あとから制約に合わせていくスタンスです。

そうなるとやはり良いものができるのは事実です。

 

こういったWEB屋とSIerの関係は、ITコンサルとSIerの関係に似ています。
WEB屋もITコンサルも、ゼロベースから提案をします。本当にユーザー、クライアントにとって良いのもをという視点から提案します。そこには、我々が望む「まずは安定稼働を」なんて視点はほとんど入っていません。

実現性は置いておけば、確かに良いのもができるのです。これまで、SIerに丸投げしてたときには決してできないものが出てきます。その点は評価できるのも事実です。

 

あとは、本当に動くのかということです。 

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SIerの理屈

さて、ワイヤーができたあたりで、実際に開発するSIerに資料を渡し、実現性の確認と見積りを依頼します。

まず概算見積りという、驚くような金額が記載された見積もりが提示されます。

 

そりゃ、世の中の先端を行くデザインにしようとしているので、先端を行く企業と同じくらいのお金はかかるわけです。
数百万円で済むわけはありません。

そういった見積りに対して、WEB屋+現場部門は、
「非協力的だ」
「ぼったくっている」
などのコメントが発せられます。

SIerの技術力が足りないのではないか、なぜあんな会社を選んだのか、IT部門は癒着しているのではないか、等々、IT部門にも飛び火がきます。

IT部門としては、あまり関わりたくないのですが、とりあえず調整に入ります。

 

さらに続く

 

 (UXのお勉強に)

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SIer vs WEB屋 その1

中堅企業でも時には、数億円かけてECサイトを作ることがあります。

 

あまりいけていないECサイトができるまで

うちのような中小企業に毛の生えた程度の会社では、ITシステムの開発を内製化するほど人は抱えられません。特にWEB関連ではスキルがすぐ陳腐化していくので、内側に人を抱えて、スキルが古くならないようにトレーニングを続けるなどは不可能です。

 

ちょっとした宣伝のWEBサイトなどは、自社でデザインしたり、小さなWEBデザイン会社に頼めば対応できるのですが、会社の重要な売り上げを上げるECサイトとなるとそうもいきません。

 

そうなると、お得意のSIer丸投げになります。名の通った大手SIerに任せれば60点くらいの動くものはなんとかできます。それなりのお値段になりますが。

 

ECサイトの場合、お客さんが見る表面のデザインも重要な要素です。しかしながら、SIerはそのあたりは専門ではないので、さらに外注に出します。大抵の場合、お抱えのWEBデザイン会社を持っており、そこを使います。大抵そういったWEBデザイン会社はSIerの言いなりで、安定して動き、バックエンドの構築が用意な、無難なデザインを出してきます。

 

こうして、あまりいけてないけど、比較的安定して動くECサイトが出来上がります。まあ、可もなく不可もなくです。

でも、IT部門にとってはそれで良いのです。安定して動いて、SIerがちゃんと保守も行ってくれる。それだけで一安心なのです。

 

WEB屋の登場

近年はUXだUIだとWEBデザインについて、まるで魔法のツールかのうように語る人があふれてます。また、WEBプロモーションという切り口から、各社のサイトにダメ出しをしてくる自称コンサルタントも大量にます。

 

彼らのようなWEB屋は、通常IT部門の人間に売り込みをすることはまれです。IT部門のインセンティブは、「落ちないで動くこと」であり、正直UXとやらにこって、レスポンスが落ち、正月の特売時期にシステムダウンなんてことになると目も当てられません。なので、IT部門の人間はWEB屋の言う「ユーザー利便性を最大化する最新のUXデザイン」などはやりたくないわけです。

 

そうなると、WEB屋が攻めるのは現場部門になります。

 

となりの芝は青く見える

「となりの芝は青く見える」それは、WEBサイトでも同じです。

多くの中小企業のWEBサイトはいけてません。お金も人もないので仕方ないことではあります。

 

しかしながら、営業部門、マーケティング部門の現場の人間は、なんちゃらWEBマーケティングセミナーなどを通じて、大量のとなりの芝を見てきます。そうなるといかに自社のECサイトがいけていなのかを痛感します。

なぜ、自社サイトはこんなにいけてないのか、そしてちょっと変更しようとするとSIerがでてきて、法外な金額を請求され、しかも時間がかかるのか、等々

少しずつ自社サイトに疑問を感じてきます。

 

そして、そのこころの闇にWEB屋がひっそりと忍び込んできます。

 

現場部門の逆襲

そうして、WEB屋と現場部門は結託し、IT部門へと戦いを挑んできます。

「なんでうちだけレスポンシブじゃないんだ」

「もっとユーザー利便性を考えて作るべきだ」

等々、いろんな受け売りでIT部門に要望(クレーム?)をあげてきます。

それに対して、IT部門は

「そんな改修すれば、数千万円飛びますよ」

「やってもいいですが、安定性が下がりますよ」

「費用対効果考えてますか?」

など防戦します。通常は、それで現場部門は大抵退散するのですが、WEB屋がつくとそう簡単には終わりません。

WEB屋は現場部門のサポートとして、
「我々の見立てでは、数百万円で可能です」
「SIerがだめなら最悪我々が手を動かしますので」
など言い出します。数百人月で作ったシステムを、数人の会社で巻き取ろうというのですから大した度胸です。
裏で動く販売管理の仕組みやDB処理や、クラウドインフラ等々、全く気にせずものを言ってくるのでさすがです。

IT部門としては、

「その期間で改修は不可能だ、我々は責任を持てない」

というと、最後は、WEB屋さんが

「大丈夫です、我々がPMもやり、SIerをコントロールしますので」

と、ここまでくるともう何を言っても通じません。現場はWEB屋に心酔しています。

結果、現場部門が金も出すということで、WEB改修プロジェクトが開始されます。

 

続く

 

(かき回す前にWEBの技術をちゃんと知りましょう。)

Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST (WEB+DB PRESS plus)

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